産後のダイエットは必要か?
ロルフコンセプトウィメンズの星です。
産後に、妊娠中の体型に戻したい!と思っている女性は多いと思います。
過去の調査でも、出産経験者の約70%の女性が産前の体型に戻りたいと思っているようです。
私の身近な方やお客様にも産後に体型を早く戻したいと言う方が多くいます。
しかし割と多くの方が誤った危険なダイエットをしている印象があります。
今回は産後ダイエットの必要性や注意点をお話させていただきます。
その上で産後にダイエットは必要なのか?
どの程度のダイエットが望ましいのか検討していきます。
これから妊娠出産を控えている女性や、産後間もないママ達には読んでいただけたら嬉しいです。
目次
妊娠中・出産直後の体型の変化
妊娠することで体型が大きく変化することに、戸惑う女性は多いと思います。
しかし妊娠中に起こる体重の増加や体型の変化は必然であることを知っておいて欲しいです。
妊娠中の母体の体重は約8~10㎏増えます。
この体重の増加は、
- 胎児の重さ約3㎏
- 胎盤や羊水の重さ約3~4㎏
- 腹部周囲に脂肪
- 大きくなった乳房の重み
によっておこります。
腹部に脂肪がつくことにより、体型に乱れを感じてしまう女性も多いかと思いますが、これは正常の妊娠過程であることと理解しておいていただきたいです。
そして出産直後は胎児と胎盤が娩出されるので、その分体重は減ります。
しかし胎児と胎盤の重さ約6㎏が減少するのみで、妊娠前の体重に戻るわけではありません。
これには私自身も出産直後驚いたし、ショックを受けた記憶があります。
「こんなに妊娠中余分な脂肪を蓄えてしまったんだなぁ」と思いました。
しかし脂肪は妊娠を継続するためには必要なものです。
また乳腺の発達にも必要なものになります。
脂肪は妊娠中に無駄についたのではなく、必要だったからついたのです。
これを読んでいる方は、出産直後に体重が減らずにショックを受けないでくださいね!
脂肪を悪者にしないでくださいね!
産後のダイエットの必要性
妊娠中についた脂肪は必然的についたもの!
そうは言っても、妊娠中についた脂肪を落としたいのは女性であれば当然ですよね。
だからといって過剰に食事量を減らして行うダイエットはとても危険です。
ママが元気でないと赤ちゃんは元気に育ちませんよ!
産後のダイエットのポイントについてお話していきますね。
一般成人女性の基礎代謝量
ダイエットにとってまず大切になってくることは「基礎代謝量」です。
基礎代謝量とは心拍や呼吸・体温などの生命維持に必要なエネルギー量のことをいいます。
基礎代謝量を知っておくことはダイエットにとって必須になります。
基礎代謝量は年齢・性別が同じであれば、身体の表面積にほぼ比例します。しかし表面積を求めるのは難しいため、体重で測定されます。
基礎代謝量を求める計算式として「ハリス・ベネディクトの計算式」というものがあります。
女性の基礎代謝量=
655.1+[9.56×体重(kg)]+[1.85×身長(cm)]-(4.68×年齢)
しかし上の計算が難しい、めんどうな方はおおよその基礎代謝量が把握できる「日本人の基礎代謝基準値」があります。
例えば、33歳の女性であれば…1日の基礎代謝量は1150kcalとなります。
代謝量は身体の組織でそれぞれ異なります。
最も代謝量が多いのは骨格筋であり、次いで肝臓、脳が代謝量が多い組織となります。
同じ年齢・体重であっても男性が女性よりも基礎代謝量が多いのは、骨格筋の量が多いためです。
つまり基礎代謝量をあげたいのであれば、骨格筋を鍛えることが効果的になります。
身体活動とエネルギー代謝
今まで基礎代謝量についてお話してきましたが、基礎代謝量は生命維持に必要なエネルギー量です。
つまりじっとしていても、最低限消費されるエネルギー量ということになります。
基礎代謝量(60%)にプラスして身体活動量(30%)、食事誘発性熱産生(10%)を合わせて総エネルギー消費量といいます。
ダイエットが成功するかどうかは、この総エネルギー消費量と食事摂取エネルギー量の関係で決定します。
身体活動量を増やすことが総エネルギー消費量を増加させることには必須になってきます。
身体活動量を増やす事というと、ウォーキングやランニング、筋力トレーニング、ヨガなどの体操を思い浮かべると思います。このような運動を生活習慣にするともちろん総エネルギー量を増加させることが出来、ダイエットに繋がります。
しかし特別な運動習慣が無くても、日常に行っている家事や育児・仕事も身体活動量の増加につながります。このような家事などの日常生活活動が該当する非運動性身体活動によるエネルギー消費を別名NEAT(non-exercise activity thermogenesis)といい、近年肥満との関連が強いと注目されています。
ちなみに以下に妊娠可能年齢の女性の総エネルギー消費量基準値を示しておきます。参考にしてみてください。
年齢 | 総エネルギー消費量 |
15~17歳 | Ⅰ:1905kcal Ⅱ:2222kcal |
18~29歳 | Ⅰ:1770kcal Ⅱ:2065kcal |
30~49歳 | Ⅰ:1710kcal Ⅱ:1995kcal |
Ⅰ:身体活動レベルが低い(生活の大部分が座位で、静的な活動が中心の場合)
Ⅱ:身体活動レベルが普通(座位中心の生活だが、立位での作業・接客・通勤・買い物・家事等を多く行っている場合)
妊娠中・産後の必要エネルギー量
妊娠中はお腹の中で赤ちゃんが育っていきます。
また胎盤も大きくなっていき、赤ちゃんに必要な栄養分を送り届けます。
このような母体の変化があるため、非妊娠時よりもエネルギーの消費量が増えます。
言い方を変えると、お腹の中の赤ちゃんに栄養を与えるために非妊娠時以上のカロリー摂取をする必要があります。
また産後、赤ちゃんが授乳を必要としている時期も同様に非妊娠時以上のカロリー摂取量が必要になります。
具体的には、非妊娠時の総エネルギー摂取量に
妊娠初期 +50kcal
妊娠中期 +250kcal
妊娠後期 +500kcal
授乳中 +450kcal
必要とされています。
産婦人科診療ガイドライン(https://www.jsog.or.jp/modules/about/index.php?content_id=16)より
妊娠中はエネルギー摂取過多により妊娠糖尿病や妊娠高血圧症などの妊娠合併症を引き起こすリスクがあります。
しっかりとした食事や生活習慣をすることが大切です。
だからといって、妊娠中にダイエットをすることはお腹の赤ちゃんの発育に大きく影響を与えます。
また産後の授乳時期に過度なダイエットをすると、母乳が出なくなったり、良質な母乳を作ることが出来なくなってしまいますので注意が必要です。
まとめると、産後に授乳中であれば1日の食事摂取エネルギー量が約2400kcal以下であれば痩せることが出来ます。
しかし授乳中のダイエットは赤ちゃんの成長に影響を与えますし、ママの体力も低下させてしまいます。授乳中は約2400kcalのエネルギー摂取量を心掛け、それ以上に摂取しすぎず、それ以下になりすぎないように摂取できると良いかと思います。
ちなみに脂肪1kg消費するのに必要なエネルギーは7200kcalです。
脂肪1kgを1か月かけて消費するとなると…7200÷30=240kcal
つまり1日240kcalマイナスをつくれれば、ゆっくりと1か月に1kg痩せることができます。
過度なダイエットは危険ですし、リバウンドも起こしやすいので、1日240kcalマイナスを心掛けてゆるーくダイエットをすると良いと思います。
産後に注意したい運動
前述したように、骨格筋は人間の組織の中で最も代謝量が多く、骨格筋の重量を増やす事は基礎代謝量の増加に繋がります。
産後は食事制限でのダイエットを行うより、骨格筋を増強させることでの基礎代謝量を増加させることをお勧めします。また産後のストレス発散にもなり、食べ過ぎ予防にもなるかと思います。
ただし産後の運動は注意すべきことがいくつかあります。無理な運動は、長期的にみると骨盤周囲のトラブルの原因にも繋がります。以下に説明をしていきますので参考にしてください。
産後の身体の回復
妊娠中に起こった身体の変化は、産後徐々に戻っていきます。
しかしすぐに妊娠前の身体に戻るわけではなく、ゆっくり1年くらいかけて戻っていきます。
特に妊娠中や出産時には骨盤底筋や腹部の組織に負担がかかっています。会陰切開や帝王切開での分娩を行った方はさらに損傷が大きいです。
そのため負荷の強い運動は、骨盤底筋や腹部の組織の回復を阻害することになるので注意が必要です。
産後の時期別にみていくと…
産後1か月まで
妊娠中に大きくなった子宮や循環機能などが戻っていく時期です。
また会陰切開や帝王切開の傷も修復される時期です。
この時期は特別な運動をする必要はないです。
休める時は休み、なるべく多く横になる時間を作ったほうが良いです。
産後3か月
授乳のタイミングや赤ちゃんのお世話にも少しずつ慣れてくる時期です。
しかし夜中の授乳や夜泣きにストレスを抱え、産後うつなどの症状になるママさんも少なくありません。
また抱っこの時間も少しずつ増えてきます。心身共に疲れがたまりやすい時期です。
この時期のダイエットや無理な運動も必要ないと思われます。
育児と休息のバランスがつく生活を心掛けたほうが良い時期です。
産後6か月
育児にも少しずつ慣れてくる時期です。赤ちゃんと抱っこひもで外出する機会も増えてきます。
また妊娠・出産で起こった身体のダメージもだいぶ回復してきている時期だと思います。
しかし赤ちゃんの抱っこが増え、赤ちゃんの動きも増えてくることから、ママの腰痛や肩こりなどの不調も多く出てくる時期です。
この時期は気分転換程度の運動や骨盤周囲のエクササイズなどを行うと良いです。
但し、過度な運動や食事制限は危険ですのでやめましょう。
産後1年
この時期は妊娠前の体重に戻っているママさんも多いと思います。
既に卒乳している方いると思いますので、卒乳を目途にダイエットを目的とした運動や食事量の調整など行っても良いと思います。
しかしこの時期は赤ちゃんの運動量も増え、一緒に遊んでいる中でエネルギーを消費していることもあります。
また仕事復帰をするママさんも多いと思います。
仕事や通勤時間でエネルギーを消費出来ているでしょうし、過度にエネルギー消費を行うと体力がなく育児や仕事がままならなくなります。
少し体型が気になるようでしたら、日頃の間食を見直すとか、非運動性身体活動を増やすなど、日常生活を見直してみてもいいかもしれませんね。
↓こちらも参考に!
産後の時期別ボディーケア
腹筋運動
産後6か月くらいすぎると、お腹のたるみが気になり腹筋運動を始めるママさんが多くいらっしゃいます。
腹筋運動はやり方ひとつで腰回りのトラブルの原因になります。また骨盤底筋にも負荷を与え、尿漏れや臓器下垂の原因にもなり得るので注意していただきたいです。
いわゆる腹筋運動であるクランチという運動は、今スポーツ界でも推奨できない運動としています。
腹筋運動と言われるとどうしてもクランチをやりたくなってしまいますが…特に女性にとってはあまり適切だとは言えません。
その代わりの腹筋運動としてオススメするのがプランクです。
このようなポジションでも腹筋を鍛えることができます。
プランクであれば骨盤底筋への負荷はあまりかからないので女性にはオススメです。
しかし産後の女性はこのポジションをとるのが難しい方も多くいます。その時は膝をついてもOKですし、壁を使ったプランクでも良いです。
ランニング
ダイエットには有酸素運動が効果的と思ってランニングをする方が多いと思います。
しかしランニングやジャンプなど身体が垂直方向に反動を受ける運動は、骨盤底筋に負荷を与えます。
特に産後の弱った骨盤底筋には負荷が強いと思われます。産後1年以内はランニングよりもウォーキングの方が長期的な健康を考えると良いと思われます。
その間しっかりと骨盤底筋や腹部のトレーニングを行っておくと良いです。
負荷の強い筋トレ
上ではクランチ運動やランニングが骨盤底筋に負荷を与え、産後の骨盤底筋には高負荷であることをお伝えしました。
その他にも
- ジャンプ動作
- 風船を膨らます
- 大声で叫ぶ(カラオケなども含む)
- 階段の昇り降り
- 重い物を持っての筋トレ
なども産後には負荷が強いと思われます。注意してみてくださいね!
まとめ
いかがでしたか?一般的なダイエットの考えから妊娠中や産後のママのダイエットまでお伝えしてきました。その上で産後のダイエットについてそれぞれに考えていただけたと思います。
産後のダイエットをまとめると
- 授乳中の過度なダイエットは危険であり必要なし
- 本格的にダイエットを始める時期は産後1年経ったころが良い
- 1日の総エネルギー消費量から240kcalマイナス程度がベスト
- 非運動性身体活動を増やすようにする
- 産後1年以内は骨盤底筋や腹部筋肉の適切なエクササイズを行うと良い
ということになります。
こう見ると、難しいことはありませんよね?
適切な食事量と運動量を行っていれば、産後に特別なダイエットは必要ないということになります。
まずはご自身の生活習慣を見直してみてくださいね!!
骨盤底筋や腹部に対する適切なエクササイズはRolf-Concept women’sで受けられます。
セルフエクササイズの指導が中心になりますので、セルフで体型を維持出来るように導いていきます。
ご興味のある方はご連絡ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。