腹直筋離開とは?腹直筋離開のセルフチェックと治す方法は?
ロルフコンセプトウィメンズの星です。
産後の身体の変化の一つに「腹直筋離開」という状態があります。
産後にお腹を触ってみて、「お腹に穴が開いている!」と驚くお母様も多いようですが、それは「腹直筋離開」が起きている状態です。
今回は産後に起こる腹直筋離開についてお話しさせて頂きます。
私たちセラピストが見ているポイント、介入する部位に関してもお話していきます。
また自宅にいながら腹直筋離開がケア出来るようなコンテンツもあります!
ぜひ確認してみてくださいね!
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目次
腹直筋離開とは
まず腹直筋とは、いわゆる皆様が知っている腹筋の事です。よく上体起こしのような腹筋エクササイズ(クランチ)で鍛えられる筋肉です。
妊娠中にお腹が大きくなっていくと、この腹直筋も伸ばされていきます。
妊娠後期になると、お腹ってとても大きくなるんですよね!腹直筋の伸長が限界になると、腹直筋の白線と呼ばれる部分が離開してしまいます。
白線とは下のイラストで見ると、中心の縦のラインになります。
この白線と呼ばれる部分は、筋肉ではなく、筋膜と呼ばれる、薄い繊維状の組織になります。
妊娠後期になり、お腹が大きくなると、腹直筋が下のイラストの矢印方向に伸長されます。
伸長が強くなってくると、中心の白線が離開し、幅が広がってしまいます。
いわゆる腹直筋離開の状態になってしまいます。
これが産後にお腹を触った時に、穴が開いている!と不安になる方が多くいます。
しかし腹直筋離開は腹直筋の白線に穴が空いているわけではなく、白線が伸びている状態と考えてください。
過度に心配する方もいらっしゃいますが、特別に手術が必要な事もなく、内臓が出てきてしまうということもほぼありませんので、極端に心配しなくても大丈夫です。
腹直筋離開の程度の評価
産後のお母様方の多くは腹直筋離開があります。
妊娠中の臨月時にはほぼ全員が腹直筋離開になると報告があります。
そう聞くと少し安心しますよね!!
ただし、程度は様々です。
小さい腹直筋離開でなければ気にする必要が無いのですが、大きく腹直筋離開を起こしている場合は少し注意が必要です。
では私たちが腹直筋離開の程度を評価する時の指標を少しお話していきます。
腹直筋離開の長さの評価
まずは腹直筋離開が長軸方向に、どのくらいの長さ起きているかを評価しています。
確認するポイントとしては、
- 臍から鳩尾(みぞおち)方向にかけてどの程度、腹直筋離開をしているか?
- 臍から恥骨方向にかけてどの程度、腹直筋離開をしているか?
を確認していきます。
これは私の印象になってしまうのですが、臍から鳩尾の2分の1以上腹直筋離開がある方は、少し注意をして腹直筋離開のケアをした方が良いかな?と思っています。
また臍から恥骨方向にかけての腹直筋離開が強い方も、お腹の力が入れにくい印象があります。
臍から恥骨方向への腹直筋離開が大きい方も少し注意をして腹直筋離開のケアをした方が良いかもしれません。
腹直筋離開部分の幅の評価
腹直筋離開の程度をみる評価として大切になってくるものが、腹直筋離開の白線部分の幅になってきます。
一般的には腹直筋離開の白線部分の幅が、2横指以上あると『腹直筋離開』とされます。
臍から鳩尾にかけて、または臍から恥骨にかけて、それぞれ2横指以上の腹直筋離開が起こっていないか確認をしています。
腹直筋自体の幅を評価
さらに腹直筋自体の幅も評価をしています。
上イラストのように臍より上と下で腹直筋の幅を評価します。
腹直筋自体の幅を評価することは、直接腹直筋離開の程度を評価するものではありません。
どちらかと言うと、私たち介入する側が、アプローチで良くなったか?または期間を経て腹直筋離開が良くなってきたかを確認するために評価をしています。
その他の腹直筋離開の評価
他にもいくつか腹直筋離開を評価するためにみているポイントがあります。
- お腹に力を入れた時に、腹直筋離開の幅が広がってないか?
- 腹直筋離開部分である白線の柔軟性
- お腹に力をいれた時に、お腹全体がしっかりと硬くなるか?
などを確認しています。
腹直筋離開によって起こるトラブル
腹直筋離開が起こっていると、当然のことですが腹筋群が機能的に働かない状態になります。
腹筋は色々な役割をしていますが、特に大切な役割として「体幹の安定性」に大きく関与しています。
人間が運動をする時、体幹の安定性が重要です。
体幹の安定性が欠けると、動作効率が悪くなったり、またどこか一部の部位に過剰な力が入ってしまい痛みが生じることが起こってきます。
腰痛や肩こりといった、老若男女問わず多いトラブルも、多くは体幹の安定性の欠如や体幹のコントロールの不良だと言われています。
他にも、腹筋が上手く使えずに、腹圧のコントロールが上手く行えないことで、排泄のコントロールが出来なくなることがあります。
排便時に無理にいきみをして、骨盤底のトラブルが生じるリスクもあります。
腹筋を機能的に働かせて、体幹の安定性を高めることは、運動のみならず日常生活においても大切ということです!!
腹直筋離開が大きく、それにより腹部の筋肉が上手に使えない場合には適切なケアが必要になります。
次の項では、ロルフコンセプトウィメンズで行っている腹直筋離開に対するアプローチやケアについて、お話していきます。
腹直筋離開の治療法は
では一度起きてしまった腹直筋離開は治るの?
不安なお母様が多いと思います。
腹直筋離開の治療方法は
- 外科的治療
- 保存療法
の二通りがあります。
多くの産後女性は「保存療法」を選択しますが、美容上の理由で外科的治療をする方もいらっしゃいます。
腹直筋離開の外科的治療
腹直筋離開を外科的に治療をしようとする場合は「形成外科」の領域になってきます。
産後の女性でも特に、体型が痩せている女性ほど、腹直筋離開が身体の表面からでも目立ちやすいため気になるのではないでしょうか。
術式としては緩んだ腹直筋離開の白線部分を短縮させるように縫合したり、補強するためにメッシュを入れる方法になります。
いくつか症例も報告されていますので、参考にしてみてください!
腹腔鏡下修復術を行った妊娠出産後腹直筋離開の2例
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjsa/77/3/77_657/_pdf
妊娠出産後腹直筋離開を伴った臍ヘルニアに手術を行った1例
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jaem/40/1/40_45/_pdf/-char/ja
腹直筋離開の保存的療法
多くの女性が経験する腹直筋離開ですが、外科的な治療を選択する人は少なく、ほとんどの女性が保存療法を選択しています。
そのためここでは腹直筋離開の保存療法を詳しくお話していきます。
実際、一度起きてしまった腹直筋離開をすぐに戻すことは出来ません。
しかし、時間をかければ腹直筋離開の程度を改善することが可能です。
腹直筋離開を改善させるポイントは
- 腹直筋自体の幅が狭くなるように…
- 腹直筋自体の長さが長くなるように…
です。
腹直筋自体の幅が狭くなるように…
先にもお話をしましたが、私たちセラピストが腹直筋離開に対してアプローチをする時には、腹直筋自体の幅を確認しています。
それは治療の効果を判定するために確認をするとお話をしましたが、それは腹直筋離開の幅と腹直筋自体の幅が比例していると考えられるので、腹直筋自体の幅を確認しています。
つまり言い換えると、腹直筋自体の幅が広い状態であると、腹直筋離開の程度も改善されていかないとも考えられます。
特に妊娠中は腹直筋の端の部分(下イラストの青〇部分)が硬くなりやすいです。
この部分が妊娠中に硬い状態になってしまうと、腹直筋の幅を広げてしまい、産後には腹直筋離開が改善されにくい状態が続いてしまいます。
このように腹直筋の端の部分に硬さが起きている場合、ロルフコンセプトウィメンズでは筋膜リリースという手法を使ってほぐす様なことをまずしていきます。
腹直筋自体の長さが長くなるように…
腹直筋自体の長さが短くなると、腹直筋離開の改善が図りにくいとされています。
よく腹直筋離開をボタンホールに例えられる事があります。
ボタンホールをイメージしてもらえると分かると思いますが、ボタンホールは長軸方向に引っ張ると穴が狭くなって、横軸方向に引っ張ると穴が広くなります。
腹直筋離開に関してもボタンホールと同様に、腹直筋が長軸方向に長いと腹直筋離開は狭くなり、逆に腹直筋が横軸方向に幅があると腹直筋離開は広がってしまいます。
そのため、腹直筋離開の改善には腹直筋を縦方向に長くすることが大切になってきます。
腹直筋自体の長さが長くなりにくい状態の方も沢山いらっしゃいます。
そのような場合はまずロルフコンセプトウィメンズでは、腹直筋が長軸方向に長くなれない原因を探り、それが組織の硬さであれば筋膜リリースを使って、硬さをとり長軸方向へ伸びやすいようにアプローチをしていきます。
腹直筋離開の改善を妨げる姿勢や動作
腹直筋離開の改善のためには、腹直筋自体の幅が狭くなり、縦に長くなることが大切であることをお話してきました。
日常生活の中にも腹直筋の幅を狭く、長さを長くすることを妨げるようなことがあります。
特に気をつけて欲しいのは『猫背』です。
猫背の姿勢は腹直筋の幅を広げ、腹直筋の長さを短くしてしまいます。
日常的に猫背の姿勢を長時間行っていると、腹直筋離開の程度は改善されません。
立っている時や座っている時に、長時間猫背になっていないか?少し意識をしてみてくださいね!
腹直筋離開とは?│まとめ
腹直筋離開とは?についてお話させていただきました。
- 腹直筋離開とは腹直筋の中心の白線部分が伸びてしまうこと
- 大きな腹直筋離開は適切なケアが必要
- 腹直筋離開の改善には、腹直筋幅を狭く、腹直筋の長さを長くする
- 腹直筋離開の改善には日頃の姿勢の見直しも重要
まずはご自身のお腹を触ってみましょう。腹直筋離開の様な状態はあるでしょうか?
また腰痛や肩こり等でお悩みの場合は、腹直筋離開に対するアプローチが必要な場合もあります。
少しでも気になる方は、専門家に相談をしてみてくださいね。
ロルフコンセプトウィメンズでは、専門的に学んでいるセラピストが腹直筋離開のケアを行っています。
気軽にご相談ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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