骨盤底から考えた便秘への対策
ロルフコンセプトウィメンズの星です。
多くの女性が悩まされている「便秘」
便秘が慢性的に起こると、骨盤底筋に負荷がかかります。それに伴い尿漏れや臓器脱・下垂に繋がる人もいらっしゃいます。
便秘には様々な原因があり、治療法も各々異なってくると思います。
今回は便秘が起こる原因を知り、改善しやすい便秘の対処法をお伝えしていきます。
参考にしてみてください!!
目次
便秘の種類
まず便秘には様々な原因や症状があります。
一般的には器質性(大腸や小腸そのものに原因がある)と機能性(大腸を便が通過する過程や肛門から便が排泄される過程に原因がある)に分かれます。
慢性便秘症の分類
癌等で腸の閉鎖が起こる事で生じる便秘や、腸の動きや構造に異常を起こす疾患で生じる便秘もあります。また食事の内容によっても便秘は起こります。
今回注目していく便秘は上の表でいう
- 骨盤底筋協調運動障害
- 腹圧低下
- 直腸瘤
によるものをお話していきます。
これらの原因で起こる便秘は、比較的多くの女性でみられるものです。
また運動や生活習慣によって改善しやすい便秘と考えています。
しかし直腸瘤に関しては、予防の観点でお伝えしていきます。すでに症状のある方は専門の医師にご相談することをお勧めいたします。
排便のメカニズム
便秘の改善・予防法を考えるためには、まず排便がどのようにして起こるのかを知る必要があると思います。
ここでは骨盤底筋協調運動障害や腹圧低下、直腸瘤による便秘に関わる排便メカニズムを中心にお話していきます。
私たちが口から食べ物を摂取すると、胃や腸で 内容物の消化と栄養分の吸収が起こります。その際の残骸が便となって排泄されます。便には古くなった腸壁などの細胞や、細菌やウイルスの死骸も含まれます。
以上のようなことを聞くと、便秘になることはとても体に良くないことを感じますね。古くなった細胞や細菌・ウイルスを排出出来ないのは困りますね…
口から摂取した内容物は
食道→胃→十二指腸→小腸→大腸
を通って排泄するのですが、このそれぞれの臓器を通過する過程で何らかの障害が起こると便秘になります。
特に十二指腸、小腸、大腸では蠕動運動という動きが内容物の通過に大きく関与します。
大腸の蠕動運動
蠕動運動とは腸にある内容物を肛門の方向に進行させるための運動です。
この蠕動運動のメカニズムは下のイラストのように腸内に内容物が入ると、腸壁が伸張されその刺激が一つ手前の腸の筋肉の収縮を促します(赤矢印)。その筋肉の収縮によって腸の内容物を大きく先に進行させます。
この蠕動運動は特に大腸では大きな運動をするため、大蠕動と呼ばれます。
大蠕動は排便にとってとても重要な動きになります。一回の蠕動運動で大きく内容物を進行させ、排便へと繋げます。
しかし大腸内の内容物が連なっている場合、つまり内容物と内容物の間にスペースがない場合は大蠕動が起きても内容物の大きな進行は起こりにくくなります。
このことが大腸の内容物通過遅延を起こし、便秘に繋がることもあります。
また大腸での大蠕動は、口から食べ物を摂取し胃に内容物が入ると反射的にも起こるとされています。
そのため朝食をしっかりと食べることは、腸の大蠕動を促し排便につながるのでとても大切です。
排便反射と肛門括約筋
大腸の蠕動運動により内容物が進行すると、最後は直腸まで達します。
直腸は一時的に便を貯蔵しますが、約100~150mlたまると便意を感じ、直腸の収縮、内肛門括約筋の弛緩、外肛門括約筋の弛緩が起こり排泄されます。
しかし後にも説明をしますが、排便時に過剰な息みを行うと肛門括約筋が弛緩しにくい状態になります。
便の硬さや直腸瘤(直腸の前壁にポケットが出来る状態)があることで、排便に過剰な息みが必要になることがあります。
しかしその息みは肛門括約筋の弛緩を阻害し、さらに排便を困難にすることに繋がります。
便禁制に関わる骨盤底筋
排便のメカニズムに関しては、大まかに理解いただけたと思います。どのように食べたものが胃や腸を通過して排便するのか、内容物の通過時に腫瘍などの異物があったり、通過に関わる運動が低下すると便秘になることが分かったと思います。
次は便禁制に関わる骨盤底筋についてお話させていただきます。
私たち人間は日頃、排便してはいけない場では禁制をしています。
便禁制に関わる骨盤底筋に「恥骨直腸筋」があります。
恥骨直腸筋の機能
恥骨直腸筋とは恥骨に付着し、直腸の後方をグルっと通って、反対側の恥骨に停止する筋肉です。
骨盤底筋群の中でも最も深い所(頭側)に位置しています。
恥骨直腸筋は、非排便時には肛門に栓をするような役割があります。
特に立位姿勢ではその栓は強く締められています。健常人であれば、立位で排便をすることは難しいのはこの恥骨直腸筋がしっかりと栓をしているからです。
しかし排便時はこの恥骨直腸筋は緩む必要があります。
恥骨直腸筋が緩まずに排便が困難になる方も多くいらっしゃいます。
恥骨直腸筋の弛緩に関しては排便姿勢に注意をすることで改善出来ますので後で紹介させていただきます。
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今すぐ出来る便秘対策
今回は骨盤底筋協調運動障害、腹圧低下、直腸瘤による便秘を中心にお話させていただいています。これら便秘による対策をお話させていただきます。
排便時に身体を前傾させる
先にもお話しましたが、排便時は恥骨直腸筋を弛緩させる必要があります。
恥骨直腸筋を弛緩させるためには、排便時に身体を前傾させる必要があります。
身体を前傾させることにより、直腸も前方に倒れます。そうすることにより恥骨直腸筋は弛緩され、肛門の締め付けは軽減され、排便がしやすくなります。
身体を前傾させ、恥骨直腸筋を緩ませると、過剰な息みや過度な腹圧上昇も必要なくなります。
過剰な息みや過度な腹圧上昇は骨盤底のトラブルにも繋がりますので、この身体を前傾させた排便姿勢をとることは女性にとって非常に大切になります。
おならを我慢しない
外出時におならを我慢する女性は多いと思います。しかしおならを我慢することが習慣化すると、常に肛門周囲の筋肉に力を入れて収縮させていることになります。
排便時には肛門周囲の筋肉を弛緩させる必要があります。
おならを我慢することが習慣化していると、排便時の肛門周囲の筋の弛緩がスムーズに行えなくなり、排便困難に繋がります。
便意を我慢しない
便意もおならと同様に、習慣的に我慢していると肛門周囲の筋肉の協調性が低下します。排便時に十分に緩めることが困難になります。そのため便意があったらすぐに排便をする習慣をつけたほうが良いです。
また習慣的に便意を我慢すると、直腸瘤になるリスクが高まります。
直腸瘤とは
直腸の前壁(恥骨側、膣側の壁)は、脆弱な構造をしている膣と接しています。そのため直腸の前壁も非常に弱い構造をしています。
直腸瘤とは下イラストの矢印で示されているように、直腸の前壁にポケットのような構造が出来てしまう状態をいいます。
このような状態になると、ポケットの部分に便が溜まってしまい排泄が困難になります。
習慣的に便を我慢し、直腸に便を溜めておくようなことをしていると、非常に脆弱な構造の直腸前壁にポケットが形成されてしまうことがあり、それが便秘に繋がってしまいます。
以上のことから、便秘予防には便意を感じたら我慢せずにすぐ排泄するように習慣付けると良いです。
朝・昼・晩、規則正しい食事を
腸の蠕動運動のところでもお話ししましたが、便が腸を通過するために大切な蠕動運動は、胃に内容物が入ると反射的に活発になります。つまり食事をとらないと、腸が動かず排便が促されません。特に朝食をとることは重要です。
朝しっかり食事をとって、便意が起こるまでの時間をとれるだけのゆとりを持てると良いですね!
まとめ
いかがでしたか?便秘にお悩みの方は少しでも参考になりましたでしょうか?
便秘は若い女性に多いと思います。便秘を放っておくと、将来尿漏れや臓器下垂・臓器脱などの骨盤底のトラブルを引き起こす可能性も高くなります。
疫学的研究によると以下のことも発表されています。
・便秘と尿失禁の関連性が明らかである。(Chiarelli et al.,2000)
・排便時のいきみによる負荷と骨盤底機能障害との間に明らかな関連がある。(Snooks et al.,1985;Lubowsi et al.,1988)
今便秘で悩んでいる方は、長期的な骨盤底筋トラブルのリスクも考え、早めに対策することをお勧めします。
今回お伝えした対策
- 排便時に身体を前傾にする
- おならを我慢しない
- 便意を我慢しない
- 規則正しい食生活を
これで便秘が解消する人もいれば、そうでない人もいます。
改善が図れないようでしたら、専門の医師に相談するようにしてくださいね!!!
またRolf-Concept women’sでは排便に改善に効果的なエクササイズ指導もしています。
ご興味のある方は是非一度ご連絡ください!!!
最後まで読んでくださりありがとうございました。
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