正しい体の使い方~荷物の持ち上げ方~

ロルフコンセプトウィメンズの星です。

日常生活の動作の中で、知らず知らずのうちに体に負担をかけていることって多くあります。
その中でも床から荷物を持ち上げる動作は、方法によっては腰痛を引き起こしたり、長期的に悪い方法を行っていると骨盤底のトラブルに繋がることがあります。

私も毎日のように、子乗せ自転車に子供を乗せたり、降ろしたりしています。
15㎏もある子供を毎日自転車に乗せる動作は、方法を間違えると腰を痛めてしまいます。
また毎日のことですから、骨盤底トラブルを引き起こす原因にもなりかねません。

今回は床から荷物を持ち上げる方法を2通りご紹介します。
この2通りの方法には各々にメリットとデメリットがあります。
場面によってこの2通りの方法を使い分けすることが大切になってきますので、その場面も含めて紹介させていただきます。

また少し専門的な話になりますが、2通りの荷物の持ち上げ方の際のバイオメカニクスもお話していこうと思います。

少し難しくなりますので、方法だけしりたい!!という方は、この記事の最後に動画を載せておきますのでそちらを見ていただけるといいかと思います。
宜しくお願いします。

床から荷物を持ち上げる2通りの方法

みなさん、荷物を持ち上げる際にはどのような方法で行っていますか?
もちろん色々な方法があると思います。持ち上げるものによっても色々な方法がありますよね。
しかし今回はあえて2つのパターンに分けてご紹介したいと思います。

その2つのパターンとは…

骨盤を前傾させて持ち上げるのか?
骨盤を後傾させて持ち上げるのか?

これだけで何か変わるの?と思うかもしれませんが…
骨盤の傾きは全身の体の使い方に影響を与え、場合によっては体の一部位に負担をかける場合もあります。

では実際に骨盤を前傾して持ち上げる、骨盤を後傾して持ち上げるとはどのような姿勢か見ていきますね!

骨盤を前傾して持ち上げる

骨盤前傾での荷物持ち上げ

上の写真は荷物を持ち上げる時に骨盤を前傾させて、腰椎、胸椎も伸展しています。

骨盤を後傾して持ち上げる

骨盤後傾での荷物の持ち上げ

上の写真は骨盤を後傾して荷物を持ち上げています。骨盤の前傾と比べると、腰椎と胸椎も屈曲しているのが分かると思います。

骨盤の前傾・後傾は、全身に運動が連鎖して脊柱や膝、足首の使い方も変えることになります。

では次は骨盤前傾・後傾位での荷物の持ち上げをバイオメカニクスの観点で説明していきます。

仙骨の動きと安定性

骨盤の動きを考える時には仙骨の動きを見ることは必須となってきます。

まず、骨盤は仙骨と寛骨という骨で出来ています。そしてその仙骨と寛骨の間にある関節を仙腸関節と呼びます。

骨盤イラスト

人間の関節は動きによって関節が締まったり、緩んだりします。

例えば人間の膝関節でいうと…膝が少し曲がった状態(膝関節屈曲25°)が一番関節が緩んだ状態になります。この緩んだ状態では大腿骨(太ももの骨)と脛骨(すねの骨)が相互に滑って動くことが出来ます。
しかし膝関節が完全に伸展位(伸びきっている状態)では、関節の締まりが最も強くなり、大腿骨と脛骨がロックされた状態、つまり動くことが出来ません。

このように全ての関節において、締まるポジションと緩まるポジションがあります。

関節というのですから、本来は関節の締まりが強くなりすぎると動くことが出来なくなってしまいますので多少緩い状態が良いと思うかもしれませんが…
それは関節によって異なってきます。

特に仙腸関節の様な身体の中心にある関節は安定性が求められてきます。

もちろん仙腸関節においても多少緩むことも大切ですが、重要視されているのは締まりのポジションにあるかどうかです。

次は仙腸関節の締まりのポジション、緩みのポジションについて説明していきます。

仙腸関節の動き

仙腸関節は半関節と呼ばれる関節で、ほとんど動きのない関節です。
身体の中心にある関節なので大きな可動性があったら大変なことになりますよね…
しかしその少しの動きが重要となってくる関節でもあります。

仙腸関節は仙骨と寛骨(腸骨)によって出来る関節です。
つまり仙骨の動きと寛骨の動きによって、関節の位置、締まりや緩みも決まってきます。

では仙骨と寛骨はどのような動きをするのか?

仙骨の動き

仙骨の動きは前に傾く(ニューテーション)動きと後ろに傾く(カウンターニューテーション)動きがあります。

寛骨の動き

寛骨は仙骨の動きに伴って動いていきます。その動きは仙骨が一軸方向にしか動かないのとは違い、複合的に動いてきます。

仙骨がニューテーションした際には下のイラストのように、左右の腸骨稜が近づき、左右の座骨が離れる方向に動いていきます。

仙骨と寛骨の動き
仙骨のニューテーションと寛骨の動き

仙骨がカウンターニューテーションをした際には下のイラストのように、左右の腸骨稜は離れる方向に、左右の座骨が近づくように動いていきます。

仙骨と寛骨の動き
仙骨のカウンターニューテーションと寛骨の動き

仙腸関節はこのように仙骨と寛骨でなる関節であり、可動性は少ないものの、仙骨の動きに対して寛骨が複合的に動いていることが分かったと思います。

ではどちらのポジションが安定しているのか?説明をしていきます。

仙腸関節の安定性

先ほど膝関節を例に関節の締まりと緩みについてお話させていただきましたが、
仙腸関節にも締まりのポジションと緩みのポジションがあります。

仙腸関節においては締まりのポジションが安定している状態であり、私たちが重要としているのも仙腸関節が締まりのポジションにあるのか?になります。

仙腸関節でいう締まりのポジションは、
仙骨がニューテーションの状態をさします。

逆に緩みのポジションは、
仙骨がカウンターニューテーションの状態をさします。

仙腸関節が安定している状態は仙骨がニューテーションしている状態になります。
体の中心にある仙腸関節が安定していると、体から離れた関節での力が発揮しやすくなります。
そのため仙骨がニューテーションしている状態で床から荷物を持ち上げることは、体の一部位に強く負担をかけることはなく、効率よく荷物を持ち上げられると考えられます。

骨盤の前後傾と仙骨の動き

ここまでは仙骨の動き、仙腸関節の締まりと緩みのポジションについてお話をしてきました。

この記事では床から荷物を持ち上げる方法として、骨盤の前傾・後傾でのそれぞれのメリット・デメリットをお話しているわけですから…

仙骨のニューテーション=骨盤前傾?
仙骨のカウンターニューテーション=骨盤後傾?

について説明しなくてはいけませんよね!

全てがそうとは限りませんが(脊柱に器質的な問題がある場合)、骨盤が前傾している場合は仙骨がニューテーションしている、骨盤が後傾している場合は仙骨がカウンターニューテーションしていると考えていいと思います。

しかし大切になってくることは…仙腸関節が安定しているか?です。

仙骨の動きに対して、寛骨が適切に動いていない人は多くいます。

要するに仙骨がニューテーションしているとき、寛骨が“両腸骨稜が近づき、両座骨が離れる”動きが起きていない人が多くいて、
そのような場合は仙腸関節の安定性に欠け、これが動作時の痛みの原因になったり…ここでは荷物の持ち上げの際に効率よく筋力の発揮が出来ない…なんてことが起きてきます。

ここまでのまとめ

ここまでの話をまとめますと…

床から荷物を持ち上げる際は、骨盤を前傾して持ち上げる方が効率よく筋力を発揮でき、一部位に過剰な負担をかけることなく持ち上げることが可能ということになります。

しかし仙腸関節が不安定であると、いくら骨盤を前傾にして荷物を持ち上げようとしても、上手く筋力を発揮できなかったり…痛みを招いたり…することがあります。

とここまでは、骨盤、仙骨、仙腸関節からみた効率のよい方法をお伝えしてきましたが…

いつどんな時でも、どんな人でもこの方法がベスト!とは限りません。
次の項で説明していきます。

骨盤の動きと脊柱の安定性

いままでお話してきたことは、仙骨をニューテーションさせると仙腸関節が安定し、動作効率が上がるということですが…
この時脊柱自体は安定ではなく、可動性の高い状態となっています。可動性が高い状態にはあるものの、荷物を持ち上げる際には安定性が必要になります。そこで脊柱の安定性を担っているのがインナーマッスルと呼ばれるような、体幹の深層にある筋群です。ここでは主に多裂筋や腹横筋や大腰筋などを指します。

逆の言い方をすると…インナーマッスルがしっかりと働いていない状況下でこのような荷物の持ち上げ方(骨盤前傾位での持ち上げ)をすると脊柱に負担がかかり、腰痛を引き起こしやすくなります。

または持ち上げる荷物の重さが、自分の発揮できる筋力よりも重い物を持ち上げる時も、前述した方法で持ち上げると腰痛を引き起こす危険性があります。

ではどうすれば良いのでしょうか?

それはアウターマッスルを使って持ち上げる!

例えばアウターマッスルである腹直筋は恥骨~胸骨、5~7肋軟骨に付着をしていますが、そこを求心的に収縮させる(近づけるように)と脊椎は圧縮して剛性が高まります。

腹直筋

このように脊柱の剛性が高まった状態であれば、重い荷物を持ち上げる際にも腰はある程度守られます。

つまり下の写真のように骨盤を後傾させて持ち上げる方法で行うと安全です。

骨盤後傾での荷物の持ち上げ

しかしどのような状況下でもこのような方法で行っていると、腰部の組織が硬くなり、結果慢性的な腰痛の原因になったり…
また骨盤底のトラブルにつながることもあります。

その時々、状況をみながら適切な方法を選択して動作をバランスよく行うことをお勧めします。

まとめ

いかがでしたか?まとめると…

  • 荷物の持ち上げ方は、骨盤を前傾するか、骨盤を後傾するかで全身への異なる影響が起こる
  • 骨盤を前傾して持ち上げる方が、一部位への過剰な負担がかかりにくい
  • 骨盤を前傾させても、仙腸関節の緩みがあると腰痛などのトラブルの原因になる
  • 重い荷物を持ち上げる際は骨盤を後傾させると腰は守られやすい
  • 骨盤後傾位での荷物の持ち上げを習慣的に行っていると、慢性的に腰痛になったり、骨盤底のトラブルにつながることもある

日常的に行っている動作で、少し気にかけながら生活するだけで、
将来の腰痛や骨盤底トラブルを予防することが出来ます。

参考にしてくださいね!!!

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