産後に多い腰が痛い症状!部位や原因は?良くなるの?
産後の女性に起こりやすい腰痛!
産後の女性が感じやすい腰痛には特徴があり、また腰痛が起こりやすい理由もあります。
今回は産後の女性が感じやすい腰痛の部位や、その原因についてお話していきます。
現在、産後の腰痛を感じている方にも当てはまることがあると思いますし、原因を理解すると多少は不安が軽減すると思います。
現在産後の腰痛を抱えている方は、ぜひ読んでみてくださいね。
目次
産後の体の不調1位の腰痛
出産を経験したことのある女性は、妊娠中もしくは産後に一度は腰痛を経験したことがあるのではないかと思います。
腰痛は産後に起こりやすいトラブルの第1位であり、実際に当店に来店される産後女性もほとんどの方が腰痛を抱えています。
↓こちらの記事も参考にしてみてください。
産後女性によくある悩みを紹介!
腰痛と言えば産後に限らず、男性も女性も起こりやすいトラブルかと思います。
しかし産後の腰痛は、他の腰痛と異なり特徴や原因がわりとはっきりしています。
次の項からその産後の腰痛の特徴的なところや原因についてお話をしていきます。
産後の腰痛で多い部位は?
では産後の腰痛で多い部位についてお話をしていきます。
一般的な腰痛は、わりと部位がまちまちで、その方によって痛い部位が異なっていることが多いです。
それに対して産後の女性は比較的、ある一定の部位の痛みを訴える傾向があるのが印象的です。
ここではその産後の女性が訴えやすい特徴的な部位について紹介をしていきます。
仙腸関節の痛み
産後の腰痛でもっとも出くわすことが多い腰痛が仙腸関節付近の痛みです。
仙腸関節とは↓この部位のことを言います。
腰というよりはもう少し低い位置の、お尻あたりに痛みを感じる場合は仙腸関節周辺で起こっている痛みだと思われます。
妊娠中は赤ちゃんがお腹の中で大きくなるために、お腹のスペースを確保してあげる必要があります。
その際に骨盤の関節を少し緩めて、骨盤内のスペースも少し広げてあげる必要があります。
その関節が仙腸関節になります。
つまり妊娠中は必然的に仙腸関節が少し緩い状態になります。
また出産時は赤ちゃんが骨盤内を通過して、ママのお腹から外に出ていきます。
その際にはもう少し仙腸関節を緩めてあげる必要があります。
要するに、妊娠中や出産時には仙腸関節が通常よりも少し緩んでいる状態になっています。
この妊娠~出産にかけて少し緩くなった仙腸関節は、産後すぐに通常の状態に戻るわけではなく、少し時間をかけてゆっくり戻っていきます。
そのため、産後の仙腸関節がまだ緩い状態には腰痛が起きやすいので注意が必要です。
腰部周辺の痛み
次に多いと思われる産後の腰痛部位が、いわゆる腰の部分の痛みです。
お尻より上の部分で、ウエストの高さ辺りの痛みを訴える方も結構いらっしゃいます。
この部分に腰痛がある方は、姿勢からくることが多いように思われます。
特に反り腰であったり、強い猫背の方はこの部分に腰痛が起こることが多いです。
反り腰や猫背は、妊娠中にお腹が大きくなると起こりやすくなりますし、産後の赤ちゃんのお世話や授乳、抱っこで反り腰や猫背が強まってしまう方も多くいらっしゃいます。
妊娠中から産後に起こる生理的な体の変化に伴う姿勢の変化や環境の変化で、この部分の腰痛が起こりやすいと言えます。
また妊娠をする前から腰痛を抱えていた方は、この部分の腰痛が引き続き起こってしまっていることも多々あります。
坐骨神経痛
「坐骨神経痛」というワードを耳にしたことがある方は多いと思います。
良くお尻や太ももにかけて痛みがある場合に、病院や整骨院などで「坐骨神経痛」と言われる方も多いと思います。
実は妊娠中~産後にかけて、坐骨神経痛のような症状が起こる方も多いです。
特に↓下の様な部分に痛みや違和感を感じる時には、坐骨神経の周りで何かしらのトラブルが起こっていることが考えられます。
妊娠~出産にかけて、骨盤にある関節の仙腸関節が緩んだり、少し動きが出たりしてきます。
それに伴い、その周辺の筋肉や筋膜にも影響を与え、引っ張られたり、圧縮がかけられたりといったことが起こります。
そのような妊娠中に起こる何らかの筋肉や筋膜の変化が、坐骨神経の周辺に起こると、座骨神経痛と呼ばれるような症状が出現します。
妊娠中から出産、産後に起こる座骨神経痛は、経過と共に自然に良くなる方が多い印象ですが、産後半年以降も続くようでしたら専門家にみてもらうことをオススメします。
産後の腰痛の特徴や原因は?
ここまでは産後に起こりやすい腰痛についてみてきました。
次は産後の腰痛の特徴や原因についてお話をしていきます。
産後に腰痛が起こりやすい原因は、大きく分けて以下の3つが原因だと考えられます。
- ホルモンの影響による関節や組織の柔軟性向上
- 妊娠・出産によるお腹の筋肉や骨盤底筋の弱化
- 不良姿勢
ではもう少し詳しく一つ一つお話をしていきます。
ホルモンの影響による関節や組織の柔軟性向上
前述したとおりに、妊娠中や出産の際には仙腸関節が少し緩みのある状態になるとお話をしました。
そもそも仙腸関節とは不動関節と呼ばれるほど、妊娠をしていない方だとほとんど動くことの無い関節です。
しかし妊娠中にお腹のスペースを広げることであったり、出産で赤ちゃんをママのお腹から出してあげるために、仙腸関節を緩ませてあげる必要があります。
普段動かない関節を、動きのある関節にするのは大変なことです!
それを可能にしているのが…ホルモン!なんです。
妊娠中~出産にかけて、妊娠をしていない時と比べると大きくホルモンの分泌バランスが変化をします。
非妊娠時に沢山分泌していたホルモンが、妊娠時には抑えられるものもあれば、非妊娠時には分泌量が少なかったホルモンが妊娠時に沢山分泌されるものもあります。
特に妊娠中~産後2か月頃まで沢山分泌されるホルモンのひとつにリラキシンというホルモンがあります。
このリラキシンは特徴として、多く分泌されると組織の柔軟性が高まります。
つまり妊娠中から産後2か月までに沢山分泌されるリラキシンホルモンが組織や関節の柔軟性を高めてくれているというわけで、妊娠中のお腹のスペースを作るためや、出産で赤ちゃんをママのお腹から出すにも、大切なホルモンになってきます。
しかしメリットの反面、リラキシンが多く分泌されるデメリットもあります。
繰り返しになりますが、リラキシンが多く分泌されると組織や関節が柔らかくなります。
するとどうしても、体の構造の安定性に欠けてしまいます。
人間が姿勢を保つときや、動作を行う時には、必ず安定性が必要になります。
安定性が無い状態で、姿勢を保っていたり、動作を行っていると、どこかしらに強い負担がかかり、それが痛みに繋がります。
産後の場合は、それが特に腰痛として出現する場合が多いようです。
妊娠・出産では組織や関節の柔軟性向上が必要不可欠であるものの、一方これが原因で腰痛になることもあることが理解いただけたかと思います。
妊娠・出産によるお腹の筋肉や骨盤底筋の弱化
人間の動きには様々なものがあると思います。
立ったり、座ったり、横になったり、起き上がったり、歩いたり、走ったり、ジャンプをしたり…
このような基本的な動きに、さらに応用が加わると
赤ちゃんを抱っこしながら歩いたり、高い所にあるお皿を背伸びして取ったり、重い荷物をゆっくりと床に置いたり…
人間の動きは無数にあります。
さらにスポーツ選手になれば、基本的な動きの組み合わせも複雑になり、道具も使うためさらに動きは複雑になっていきます。
このように、人間は様々な動きを行い活動をしているのですが、全ての動きにとって重要になってくることが…
腹腔内圧をコントロールすること!になります。
少し難しい話になるので、簡単に説明をすると…
↓人間のこの部分に空気の圧が変えられる風船があると思ってください。
人間は、先ほどお話したような動きをする際にはこの風船の部分の圧を常に高めたり…弱めたり…とコントロールしています。
そしてこの腹腔の圧をコントロール出来ずに動きを行っていると、痛みが出現したり、怪我をしやすくなると言われています。
ではこの腹腔内圧のコントロールはどのように行っているのか?になりますが、以下の筋肉が大きく関わっていると言われています。
- 腹筋群
- 背筋群
- 横隔膜
- 骨盤底筋
これらの筋肉の機能がしっかりとしていることが、腹腔内圧コントロールの前提条件となるようです。
しかし妊娠中や出産で腹筋や骨盤底筋はダメージを受けやすいです。
つまり、妊娠中や出産で腹筋や骨盤底筋にダメージを受け、腹腔内圧のコントロールが上手くいかず、腰痛に繋がるということが、産後の腰痛の特徴になります。
不良姿勢
最初にお話をした通りに、姿勢の悪さは腰痛に繋がります。
猫背や反り腰は腰痛の原因になりやすく、産後の女性の多くはそのような姿勢をしています。
しかし産後の女性が猫背や反り腰になりやすのにも原因があります。
その原因の一つは、先ほどお話した、腹筋や骨盤底筋の機能低下から起こるものです。
腹筋や骨盤底筋が機能低下を起こし、腹腔内圧のコントロールが上手く出来ないと、姿勢が悪くなります。
そしてもう一つは、育児は前かがみでの姿勢が多いことがあげられます。
床やベッドで横になっている赤ちゃんをあやす時、オムツを交換する時、沐浴をする時、授乳をする時…全ての育児の場面で、ママは前かがみの姿勢になっていると思います。
小さい赤ちゃんのお世話をするのですから、当たり前ですよね!
育児はママの姿勢が前かがみになるものが多く、それが猫背の姿勢に繋がりやすく、産後の腰痛の原因にもなるということです。
産後の腰痛は良くなるの?いつまでつづく?
ここまで産後のよくある腰痛部位や特徴、原因についてお話してきました。
現在産後の腰痛で悩んでいる方は、この腰痛は治るの?いつまで続くの?と感じている方も多いと思います。
ここからは、産後の腰痛が軽減、改善する時期についてお話をしていきます。
産後の腰痛には特徴的な部分があるとお話をしてきました。その特徴からすると、腰痛が改善するであろう時期が3回あります。
- リラキシンホルモンの分泌が減る産後2か月頃
- 離乳食が進み、授乳量が減る頃(生理が再開する頃)
- 赤ちゃんの抱っこが減る頃
ここに関しても、もう少し詳しくお話をさせていただきます。
リラキシンホルモンの分泌が減る産後2か月頃
これまでに、妊娠・出産に必要不可欠ではあるものの腰痛の原因になるホルモンにリラキシンがあるとお話しました。
このリラキシンは出産時に分泌量がピークに達し、出産後は激減するのですが、産後2か月頃までは非妊娠時よりも多く分泌されています。
産後2か月をすぎるとほぼ非妊娠時と同程度の分泌量に落ち着きます。
よってこのリラキシンホルモンの影響で、仙腸関節の柔軟性や組織の柔軟性が高まり、腰痛に繋がっていた方は、この頃くらいから腰痛が軽減してきます。
ただし、実際に私が産後の腰痛を抱えたクライアント様に関わらせていただいた中では、このころに腰痛が軽減する方は少ない印象です。
離乳食が進み、授乳量が減る頃(生理が再開する頃)
次に腰痛が軽減しやすい時期が、赤ちゃんの離乳食が進み、授乳の量が減る頃になります。だいたい産後7~10か月の間かと思います。
母乳でなくミルクの量が多い方はもう少し早い時期になるかもしれませんが、時期の指標としては生理が再開したかどうかです。
母乳を作るのに大切になってくるホルモンにプロラクチンというものがあります。
このプロラクチンは出産後~産後2か月ころまでは沢山分泌されるのですが、その後は母乳をあげてる方のみ多く分泌され続けるホルモンになります。
つまり母乳量が少ない方は、あまり分泌されないホルモンになります。
このプロラクチンは、リラキシンと同様に組織や関節を柔らかくする作用があります。
リラキシンほど強くはないのですが、プロラクチンも分泌が多い時期は組織や関節の柔軟性を高め、それが原因で腰痛になるかたもいると思われます。
繰り返しになりますが、プロラクチンは母乳量が少ないと分泌量も少なく、特に生理が再開している状態だとかなり分泌量が抑えられていると考えられます。
そのため、離乳が進んで母乳量が減ってくる産後7~10か月くらいが腰痛が軽減してくる2回目の時期になります。
赤ちゃんの抱っこが減る頃
産後2か月頃までのリラキシンホルモンの影響や、産後7~10か月頃までのプロラクチンホルモンの影響が少なくなってもまだ腰痛が継続する場合。
要するに、生理が再開した後も残る腰痛は、日頃の姿勢や育児の際の姿勢や動きを見直す必要があると思います。
前述したように、育児の姿勢は前かがみの姿勢が多く、猫背になりやすいです。
また妊娠・出産で弱くなった腹筋や骨盤底筋は反り腰や猫背の原因にもなります。
特に産後のお母様方の体の負担の大きな割合を指すものに、こどもの抱っこがあげられると思います。
私のスタジオに来店されるお客様の多くも、抱っこを負担に感じていたり、長時間抱っこ紐を使用することで腰痛が出現しています。
こどもの抱っこは、産後のお母様の体に負担をかけます。
だいたい1歳~1歳半くらいになると少しずつ外出時にも少し立ったり歩いたりの時間が増えていくと思います。
家においても、抱っこしている時間や回数が減ってくるのではないかと思います。
少しずつ抱っこや、それにプラスして前かがみの育児姿勢も減ってくると思うこの産後1歳~1歳半の時期も腰痛が軽減してくる時期になってくると思います。
産後の腰痛予防にやっておきたいこと
それでは最後に、産後の腰痛予防のためにやっておきたいことや、知っておきたい知識をお話させていただきます。
妊娠中からストレッチと簡単な筋トレ
産後の腰痛を抱える方の多くは、妊娠中に生じた腰痛が継続して起こっている方がほとんどです。
妊娠中はホルモン分泌バランスが変化したり、お腹が大きなり姿勢が変化すると腰痛が起こりやすくなってくることは、ここまでにもお伝えしてきました。
そして妊娠中に起こった体の変化は、産後すぐに元に戻るものでなく、ゆっくりと戻っていくことも理解していただけたかと思います。
そういった事からも、実は産後の腰痛予防には妊娠中からのケアが大切になってきます。
ここでは簡単な妊娠中にやっておきたいストレッチや筋トレをお伝えします。
体幹前面のストレッチ
- あぐら、もしくは椅子に座ります
- 体の前側をストレッチするように、胸を開くように上写真の☆方向に向けます。
- この状態で3~5回深呼吸、3セットくらい行うと良いです!
体幹側面のストレッチ
- あぐらもしくは椅子に座ります
- 上写真のようにベルトもしくはタオルを両手で持ちます
- 上写真のように、手を挙げて、さらに体を横に倒します
- 倒した側と反対側の、体の側面がストレッチされます
- ストレッチをキープしながら、3~5回深呼吸、これを3セットくらい行うと効果的です
体幹後面のストレッチ
- あぐらもしくは椅子に座ります
- 写真右側のように、前でボールを持つもしくは手を組みます
- 背中を丸めるようにして、手を前に伸ばしていきます
- 背中のストレッチが高まったら、キープして3~5回深呼吸、3セット行うと効果的です
- 前面のストレッチと交互に行うとさらに効果的です
ブリッジエクササイズ(お尻上げ)
- 両足を立てた状態の仰向けになる
- そこからお尻を持ち上げる
- 持ち上げて5秒間キープして、ゆっくりおろす
- 3~5回、3セット程行うと効果的
産後早期のトレーニングは、このくらい軽い負荷のものから始めます。
床の上で横になって行えるエクササイズがのぞましいです。
産後すぐのトレーニングはNG
産後に早く体型を戻したいと思い、産後すぐにトレーニングを開始してしまう方も多くいらっしゃると思います。
しかしそれは絶対にやってはいけません!
ここまでお話してきた通りに…
- 産後はホルモンの影響から体の柔軟性が高まっている
- 産後は腹筋や骨盤底筋の機能低下が起こっている
そのため、無理な運動を産後の早期に行ってしまうと、腹筋の機能が元に戻りにくく、余計ポッコリお腹になってしまったり、慢性的な腰痛や肩こりを引き起こしてしまうことに繋がります。
骨盤底筋に関しても産後はかなりダメージを受けており、そんな中早期にトレーニングを行ってしまうと、近い将来、尿漏れや臓器脱などの骨盤底トラブルに悩むことになってしまいます。
産後は適切な時期に適切なトレーニングをする必要があります。
不安がある方は、専門家に相談して、適切なケアを行ってくださいね!
↓産後の時期別の適切なトレーニングについて知りたい方はこちらも参考にしてみてくださいね!
産後の時期別ボディケア
産後に多い腰が痛い症状!部位や原因は?良くなるの?丨まとめ
産後に多い腰が痛い症状!部位や原因は?良くなるの?について紹介させていただきました。
- 腰痛は産後に起こりやすいトラブルの第1位
- 産後に起こりやすい腰痛は「仙腸関節周辺の痛み」「腰周辺の痛み」「坐骨神経痛」
- 産後はホルモンの影響で腰痛になりやすい
- 産後は腹筋や骨盤底筋の弱化により腰痛になりやすい
- 育児姿勢の不良は腰痛になりやすい
- 産後の腰痛が改善するタイミングは、産後2か月頃、産後7~10か月頃、産後1年~1年半後の3回ある
- 産後の腰痛予防として妊娠中からのケアが大切
- 産後の早期の運動は注意が必要で、適切な負荷量でおこなうべき
以上、産後に多い腰が痛い症状!部位や原因は?良くなるの?についてまとめてみました。
最後までお読みいただきありがとうございました。
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