2019年11月26日 / 最終更新日時 : 2020年1月5日 emi 一般向け記事 学習のための“成功体験”と“失敗体験” ロルフコンセプトウィメンズの星です。突然ですが…私には今3歳の息子がいるのですが、私の生活の大半がその息子の育児です。育児をしていると、高校卒業してからずっと学んできたリハビリテーションと似ているなぁとか、今まで勉強してきたことが生かされるなぁと思うことがあります。今回お話することは育児の参考にもしていただけると思いますが、運動指導をしているセラピストにも参考にしていただける内容かと思います。良かったらこのまま読んでいただけると幸いです! ふと今日思ったことがあります。“子供は成功体験から学ぶことと失敗体験から学ぶこと、どちらが多いのか?”と言いますのも、私の息子は失敗をするのが嫌いで、失敗をしたことを嫌いになってしまう傾向があります。そのため私自身、息子に何か教える時や新しいことをやってみようとする時には、自然と失敗させないようにさせていました。 “成功体験”と“失敗体験”といえば、私は病院で理学療法士として多くの患者様のリハビリテーションに携わり、いつも考えていました。 例えば…理学療法士が行う訓練の中に、『バランス訓練』というものがあります。歩くことが難しい患者様にとって、立っている状態でバランスを取ることが難しいことがほとんどで、それを練習し学習することは大切です。ではどのように『バランス訓練』をするのか?“失敗体験”をさせるのか?“成功体験”をさせるのか? バランス訓練での“失敗体験”からの学びとは、患者様が苦手とすることをしてして本人に「あー自分はこれが出来ないんだ…」「どうすれば出来るのだろう…」と学んでいってもらうことです。 逆に“成功体験”からの学びとは、患者様が出来るであろうと思われる範囲内での自身のバランスコントロールを身に付けてもらうこと。もちろん少し難しいであろうことも挑戦しますが、ある程度こちら側でフォローをして本人には失敗と思わせないようにする。「あーここまでなら自分で出来るんだな」と学んでいってもらうことです。 では運動指導としては“失敗体験”と“成功体験”からの学習でどちらが良いのでしょうか…? ケースバイケースではありますが、基本的には“成功体験”が学習に繋がりやすいと言われています。その理由としては、学習は脳の報酬系回路と関連があるためです。「嬉しい」「気持ちいい」「幸せ」と感じ、脳の報酬系回路が賦活することは学習に効果的であると言われています。 また、今回の例であげた『バランス訓練』のような場面においては、“失敗”した際には大きく姿勢が崩れたり、コントロールが不良になります。脳や筋・筋膜には『可塑性』があります。私はリハビリテーションとはこの『可塑性』を良い方向に変化させていくものだと考えています。良い方向への『可塑性』もあれば悪い方向への『可塑性』もあります。 つまり良い方向への刺激を沢山得ることが学習には大切であって、それは“失敗体験”からは得られません。 では子どもにおいてはどうでしょう? 今まではリハビリテーションにおいての話をしてきました。リハビリテーションとは、再び元の機能や状態に戻すことをいいます。多くの患者様は怪我や病気で身体機能が低下してしまっていますが、それ以前は正常な機能を持っていることがほとんどかと思います。 しかし、子供はまだ発達段階の途中にいます。まだ歩けない年の子供に、失敗をさせたくないからと言って歩かせないようなことはしないと思います。お箸を持ってご飯が食べられない子供に、お箸はまだ持てないからといって練習させないことはしないと思います。子供はまだ発達段階の途中にあるので、沢山動いて、触って、見て、聞いて、知覚して、経験していくことが大切です。それには当然失敗が伴ってきます。 結論としては、子供は“成功体験”も“失敗体験”も必要であるし、どちらが良いとも言えないかと思います。子供の個性によってもどちらが子供にとって良い刺激になるかも異なってくると思います。しかし、“成功体験”のような「嬉しい」「気持ちいい」「楽しい」という気持ちが子供のモチベーション向上につながることは確かです。子供が“失敗”をしたときにでも、悪いことだと思わせずに、“成功”への一歩だと感じさせるような親の関わり方が出来ると良いと思いました。 Follow me! FacebookXHatenaPocketCopy コメントを残す コメントをキャンセルメールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目ですコメント ※ 名前 ※ メール ※ サイト 次回のコメントで使用するためブラウザーに自分の名前、メールアドレス、サイトを保存する。 Δ